食品ロスの削減
革新的なリサイクル技術で、食品パッケージの再利用が可能に
軟質(ソフト)プラスチックは、食品を長期間新鮮に保ちます。サラダ、チーズ、肉、パンなどの生鮮食品のパッケージに軟質プラスチックを使用すると、保存性が高まり、食品廃棄物の削減にもつながります。 しかし、軟質プラスチックのリサイクルは、現時点ではまだあまり普及していません。 例えば英国では、年間40万トンの軟質プラスチックが使用されていますが、現在国内で回収・リサイクルされているのは、わずか2万1,000トンです。 そのため、膨大な量のプラスチックゴミが埋め立てや焼却によって処分されたり、環境中に流出しています。 しかも、従来のリサイクルプロセスでは、軟質プラスチックは非食品用グレードの原料に「ダウンサイクル」されるだけに留まっています。
いま世界は、使用済みの原料から新しい製品を生み出す「循環型」の経済に移行する必要があります。 軟質プラスチックは、その循環の一部に組み込めるのでしょうか? それを可能にする方法は、実はすでに、先駆的な協働事業において実証されています。 SABIC(サビック)は、食品業界のサプライチェーンの様々なパートナーと共に独自のプロジェクトを展開し、使用済み軟質プラスチックを油に変換する「熱分解」と呼ばれる先進的なリサイクルプロセスを研究しています。 そこで生成された油は、新しいプラスチックの原料となり、 その原料を使って、化石燃料由来の軟質プラスチックと同等の安全性と効果を持つプラスチックを生み出すことができます。 この技術により、品質に妥協することなく、軟質プラスチックを繰り返しリサイクルすることが可能になります。
このプロジェクトの潜在能力は、協働する5つの組織によって証明されています。 ある主要小売企業は、独自の循環型ビジネスモデルの開発に積極的で、使用済みのプラスチック容器を顧客から直接回収し、それらを専門リサイクル会社に送付して油に変換しています。その油を使用して、SABIC(サビック)が粒状プラスチック材料を製造。 その材料を使用して、パッケージ製造企業がその小売企業のサプライヤー向けに食品グレードの容器を製造します。 これが、プラスチックゴミを出さない循環型のクローズド・ループ・システムです。
革新的なリサイクル技術と密接なコラボレーションにより、軟質プラスチックを、プラスチックゴミの少ない未来の一部に組み込むことが可能になります。