より小さな部品の製造が、大きく一歩前進
モバイルデバイスやウェアラブルデバイスの小型化・軽量化・高機能化に伴い、電子部品のサイズおよび重量の縮小化が進んでおり、小型化されたデバイス構成において最適な性能を発揮する新しい材料が求められています。
そのような材料が必要となるのは、IC チップや基板上のコネクタ、カセット、IC プロセスキャリア、FOUP、気体・液体輸送システムの部品などです。こうした状況を受け、SABIC(サビック)は、このトレンドに対応するためSuperflow ULTEM™樹脂のポートフォリオに新たに2つのグレードを追加しました。
グラスファイバーで強化された Superflow ULTEM SF2250EPR および SF2270 は、IC チップのストレステストに使用されるバーンインテストソケット(BiTS)の成形に優れた流動特性を発揮します。
これらは薄肉で高精度かつ小型化されたコネクタの成形にも利用できる可能性があります。
これらの流動特性は、これまで以上に小型かつ軽量でより高度な部品の成形における「低い溶融温度設定で材料を隙間なく型に充填し、型から簡単に外れるようにする」という課題を解消するとともに、エネルギーの節約と生産性の向上も実現できます。
流動性と強度を両立させたこの樹脂は、流動性が高いグラスファイバー強化PES材料に取って代わる可能性があります。
ULTEM グレードは、PESと同様の流動性を備えているうえ(そのためツールの変更が不要)、強度と弾性率を最大20%向上させ、密度を最大9%低下させ、吸湿率も下げられるという特徴もあります。
SABIC のシニアビジネスマネージャーである木下 努は次のように述べています。「新世代のモバイルデバイスやウェアラブルデバイスに対応するため、ICチップや基板上のコネクタといった電子部品のサイズや重量の縮小化が進んでおり、小型化されたデバイス構成において最適な性能および一貫した品質を提供できる新しい材料が求められています。
これらの要件は、スマートエレクトロニクスで要求される、より高速で高密度な相互接続に関する IC チップの性能や信頼性を試験するために用いられるバーンインテストソケット(BiTS)とコネクタの両方に適用されます。
SABIC の Superflow ULTEM 樹脂ポートフォリオの拡大は、進化する業界トレンドに対応するものであると同時に、エレクトロニクス業界の新技術に向けた弊社の継続的な投資を示すものでもあります。」
BiTSメーカーは、高温、高圧および繰り返しの使用など、非常に過酷な条件下で使用されるファインピッチ部品の高度な設計に利用できる新しい材料ソリューションを常に求めています。
韓国の Sensata Technologies 社はSABICの Superflow ULTEM SF2250EPR 樹脂を最初に導入した BiTS メーカーのひとつです。
Sensata 社でセンサーソリューション事業部の設計エンジニアリング部マネージャーを務めるTommy Oh 氏は次のように述べています。「業界全体でファインピッチ化・小型化が進む中、既存の材料ソリューションでは流動性やウェルドライン強度が不十分で、複雑な BiTS の設計には技術的な限界がありました。
SABICの新しいSuperflow ULTEM SF2250EPRソリューションを採用したことで、0.5mm さらには 0.4mm といった狭ピッチで、優れた性能を持つ様々なBiTSデバイスの開発および商品化に成功しました。
この材料は代替の PES 材料に比べ、特に薄肉のウェルド部における延性が約30%向上したほか、はるかに優れた流動性を示しています。
SABIC の新しい材料は、引張強度や曲げ強度などの重要な性能面において、当社の BiTS 製品に大きなメリットをもたらすものと期待しています。」
より小さな部品でより優れた性能と品質を実現する際の技術的な限界を克服していくことで、ウェアラブルテクノロジーはますます進化し、さらに小型化・統合化されたテクノロジーによって私たちの日常生活はさらに便利で豊かなものになっていくでしょう。